会社概要は、一度作れば終わるページに見えます。けれど、取材や問い合わせの前に、事業内容と連絡先を確かめる入口でもあります。社名は合っていても、サービスが旧名称のまま、従業員数の時点が不明、問い合わせ先が古いと、確認する人を迷わせます。
ここで扱うのは、広報向けのWeb上の会社紹介です。法定の開示事項の一覧ではありません。読む人の目的を起点に項目を選び、現在の情報と過去の発表を分け、変更したときに更新が続く形を作ります。
会社概要を、現在の公式情報の基準にする。項目には根拠と情報の時点、更新には担当ときっかけを持たせる。
- 読者の目的から掲載項目を選べる
- 短い紹介文と詳しい事業説明を書き分けられる
- 移転や名称変更の更新先を管理できる
読む人が何を確かめたいかから、項目を選ぶ
記者は事業の特徴と取材窓口、顧客は利用対象と問い合わせ先、採用候補者は事業と働く場所を確かめたいかもしれません。まず、実際に届く質問と、社内の担当者が答えていることを集めます。GOV.UKの利用者ニーズの指針も、提供側の想像だけでなく実際の利用者を調べることを重視しています。
理念や沿革は会社を理解する材料ですが、それだけでは現在何を提供しているか分かりません。基本情報と事業説明、目的別の窓口を揃え、必要な詳細へ進めるページにします。項目を増やすより、読者の確認作業を減らすことを判断基準にしてください。
会社概要に載せる情報の選び方
| 情報 | 読者が確かめること | 管理の注意 |
|---|---|---|
| 正式社名・事業内容 | 誰が、何を提供する会社か | 名称と事業の提供範囲を揃える |
| 代表者・設立・所在地 | 会社の基本的な情報 | 根拠資料と公開範囲を確認する |
| 従業員数・拠点・実績 | 組織や事業の規模 | 集計時点、単体/連結、単位を添える |
| サービス・採用・取材窓口 | 目的に合う次の行動 | 担当と受付条件、移動先を確認する |
広報向けの編集項目例です。全社に一律で必要な法定項目の一覧ではありません。公開の必要性と社内の確認を踏まえて選びます。
事業説明は、対象・仕事・提供内容を先に書く
『社会に価値を提供する』『DXを推進する』だけでは、初めての人は事業を説明できません。誰に、どんな仕事に、何を提供するかを先に書きます。理念は、その事業に取り組む理由として後から添えられます。
用途と成果を分けます。『各店舗の予約状況を一画面で確認できる』は機能の説明ですが、『すべての店舗の売上が上がる』は成果の主張です。後者を書くには、それを支える根拠と範囲を確認する必要があります。複数事業は一文へ詰め込まず、事業ごとに分けます。
会社の説明を、利用場面が見える言葉へ
主な事業の説明
- 見直す前
- 革新的なテクノロジーで飲食業界のDXを推進し、新しい価値を創出します。
- 見直した後
- 複数店舗を運営する飲食企業向けに、予約管理サービスを提供しています。各店舗の空き枠を一画面で確認でき、店舗をまたぐ予約確認に使えます。
対象、提供するもの、使える仕事を先に書きました。
架空の会社の編集例です。数字や効果を追加して、実績があるように見せないでください。
短い紹介文と、詳細な会社概要を同じ事実から作る
会社概要の本文、プレスリリース末尾、営業資料、採用ページで、同じ会社が違う説明になっていないか確認します。基準となる文章と事実の一覧を一か所に置き、媒体に合わせて長さを調整します。
短い文章では、社名、対象、提供内容、公式の案内先を優先します。詳しい会社概要では事業ごとの説明、所在地、代表者などを加えます。短縮しても、対象地域や契約条件など意味を変える情報を落とさないようにします。
会社概要は現在、プレスリリースは発表時点の記録
移転が決まったら、会社概要の所在地を適用日に合わせて更新します。古い発表は発表時点の履歴として残し、必要に応じて現在の会社概要へ案内します。過去の記事を最新住所や実績へ書き換え続けると、当時何を発表したのか分からなくなります。
誤記の訂正と後日の変更は区別します。発表当時から間違っていた数値は、訂正内容と訂正日を残します。発表後に提供を終了したサービスは、履歴を消すことだけで済ませず、現在の受付状況が分かる案内を検討します。
ページの点検日と、数値の集計日は別です。10月1日に点検した会社概要に、3月末の従業員数を載せるなら、その集計時点を明示します。ページ更新日を新しくしただけで、数字も最新になったように見せないことが大切です。
履歴と現在の情報の扱い
| 変更 | 現在のページ | 過去の発表 |
|---|---|---|
| 移転 | 新所在地と適用日を確認して更新 | 発表時の記録を残し、現在地へ案内 |
| サービスの名称変更 | 新旧名称の関係と現行情報を掲載 | 当時の名称を残し、現在の案内へリンク |
| 従業員数の更新 | 新しい集計値と時点を掲載 | 当時の集計値を履歴として維持 |
| 発表内容の誤り | 必要な訂正と影響を確認 | 訂正箇所・内容・日付を明示 |
一般的な編集上の整理。各社の記録・開示方針と、変更の影響に合わせて判断します。
更新は、変更のきっかけと担当をセットで管理する
定期点検だけでは、移転やサービス変更が次の点検日まで残ります。総務・事業・人事など、元の情報を持つ担当と、公開を確認する人、実際に更新する人を決めます。未発表の情報は、知った順に公開せず、公開可能な日時と範囲を確認します。
公式サイトのほか、会社紹介資料、プレスリリースの定型文、採用ページ、外部プロフィールを更新先として一覧にします。同時に直せない場合は、連絡先や提供条件など、読者への影響が大きい箇所から順番を決めます。
変更が決まったときの更新手順
元の情報を確認
変更内容、適用日、根拠資料、外部へ公開できる範囲を確認する。
更新先を洗い出す
会社概要、紹介文、関連ページ、資料、外部プロフィールを確認する。
公開し、入口を点検
承認後に更新し、リンク・連絡先・旧情報からの案内を実画面で確認する。
更新日時だけでなく、適用日と確認した根拠を内部記録に残します。
検索向けの設定も、画面に載せた事実と揃える
GoogleのOrganization構造化データは、社名、所在地、連絡先、ロゴなどの組織情報を伝える仕組みです。制作担当が設定している場合は、会社概要を直したときに、その設定にも旧社名や旧住所が残っていないか確認してもらいます。
構造化データを追加すること自体が、AIに紹介される保証にはなりません。先に読者が読める情報を整え、その内容と設定を一致させます。Google検索のAI機能にも専用の特別な構造化データは必要ないと説明されています。
確認に使った一次資料
GOV.UK|Learning about users and their needs読む人が達成したいことを起点に情報を設計する、英国政府のサービス設計指針。確認日:2026.10.01原文(別タブで開く)Google Search Central|Organization structured data組織情報をGoogleへ伝える構造化データの説明。検索表示を保証するものではない。確認日:2026.10.01原文(別タブで開く)Google Search Central|AI features and your websiteGoogle検索のAIによる概要・AIモードの要件と計測。ほかのAIサービスには一般化しない。確認日:2026.10.01原文(別タブで開く)読む。整理する。書き始める。
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